朝日現代クラフト展は、「暮らしのカタチに―豊かな夢を」をテーマに83年から始まった一般公募型展覧会です。従来のクラフトの枠にこだわらない自由で独創的な力作が毎年全国から寄せられ、厳しい審査のもと入賞・入選作品が選ばれます。今年で27回目を迎えましたが、その間多くの作家を輩出するなど、クラフト界の登竜門として位置づけられるまでになりました。

 21世紀を迎え、ハイテク技術によって生活が簡便化する中、「暮らしにおける豊かさ」が重視され、人々のライフスタイルや生活空間において、今後クラフトが果たす役割はますます大きくなっていると言えます。本年も発想豊かな素晴らしい作品が多数寄せられることを願っています。

 最後になりますが、本展の審査・運営にご尽力いただいております審査委員・実行委員の皆様と、多大なご協力を頂いております(株)阪急百貨店、並びに関係各位に心より御礼申し上げます。

2008年10月 朝日新聞社





幕末明治以後の日本美術の特色をまとめてみる必要にせまられた昨今

原田 平作
朝日現代クラフト展実行委員長(大阪大学名誉教授、愛媛県美術館名誉館長)

 このところ2回ほど短文で近代日本美術の特色を書く必要にせまられた。
 一つは中国工筆画学会という会から国際学術シンポジウムを10月に開催するからといって頼まれたもので、「19世紀後半と20世紀の日本美術」というタイトルで書いた。
 内容はその間は江戸時代とは異なって欧米に育った「芸術の自律性」を尊重する気風が強く、その結果として民族的な性格と言えるような面をまがりなりにも解り易く打ち出せたことではなかったかと指摘した後、あえてその性格を一言で言ってみれば「日常的生活感的感傷性」ということになるのではないかとした。
 そしてこれに厚みを持たせるために欧米について言ってみると、フランスを「洗練された明快さ」といえばドイツは「精緻と奇想の同居性」、イタリヤは「触覚的な構築性」、スペインは「本質凝視の直截性」、イギリスは「先見的な格式性」などと言いたくなり、それぞれの国はそれぞれの特色を19世紀から20世紀にわたって、日本と同様に比較的解り易く顕現させたのではないかと言いたくなるというものであった。
 それからもう一つは『美術フォーラム21』という雑誌の18号で「江戸・東京の美術」を特集することになり、そこにも一文を寄せることになって、今度は「江戸の粋(いき)・東京の張り、〜〜京の雅(みやび)・京都の研(みが)き、大坂の遊(ゆう)・大阪の芸〜〜」というタイトルで書いたことである。
 その内容はこの間の日本画といわれるものは目線が日常生活にあって、東京はそれを越えんとし京都はそれに沈潜しようとした、対して大阪は若干余裕のようなものをもってこれに臨んでいたとするもので、結局タイトルをこねまわしたようなものになってしまったが、そこでどうしても問題にせざるをえなかったのは洋画というものをどう考えるかで、これを持ち出すとどうしても民族的特色というようなことを持ち出さざるを得ず、結局は先の中国向けの場合同様「日常的生活感的感傷性」というようなことに向かわざるをえなかった。

 ところで今こんなことをここに書いてみたのは他でもない。「暮らしのカタチに豊かな夢を」ということをモットーに26回も展覧会を重ねてきた本展の基本線も、今述べた日本的性格の別の現れ方ではないかと何となく考えられるからである。

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